準備を忘れ、間を見る!?
先日、はじめて10数名の人たちの前で、
セミナー講師をされるという方に、
「多くの人の前で話すのがはじめてなので、すごく緊張しています。
自分の話を聞いてくれなかったらどうしよう、
うまく話せなかったらどうしようと、と思うと、ますます不安になります。
西邑さんは不安や緊張をなくす工夫、何かされているんですか。」
と聞かれました。
「私も何度やっても、いつも緊張しますし、
誰しも緊張するものだから、きっと大丈夫ですよ。」
とこたえたものの、きっと気休めだし、答えになっていないと思い、
ちょっと即興で、
「あえて、コツのようなことを言えば・・
・ 準備したものをすべて忘れて
・ 参加者と自分の間の空気だけを見ること
じゃないですかね。」と、お伝えしました。
その方は、「なるほど!」と即座に反応されて、話が終わりましたが、
果たしてどこまでわかっていただけたのか、定かではありません。
普通に考えれば、
・折角準備したものを忘れる?
・目の前の参加者ではなく、自分との間?空気を見る?
一体、なんのこっちゃ、
というのが、本当のところだと思うのですが。
実は、チームや組織に関わる上で大切なポイントがここにあるのです。
チームというのは、セミナーや研修でいう「場」と同じ。
セミナー参加者というチームメンバー、
セミナー講師というチームリーダー、
その講師のファシリテーション次第で、
セミナーの状況も成果も変わってしまいます。
きっとチームも同様ですよね。
リーダーであるあなたの不安や緊張をいち早くなくし、
チームが成果を出すことに集中することが大切。
そのために、まず、
準備したものをすべて忘れ、参加者と自分の間の空気だけを見る、とは、
一体どういうことなのか。
不安や緊張の原因が、
・自分の話を聞いてくれなかったらどうしよう
・伝えたいことがうまく伝わらなかったらどうしよう、だとすると、
「誰に」「何を」伝えるかを、
あなたが過剰に意識しているからではないでしょうか。
どんな時も誰に何を伝えるかを考えて準備するのは、至極当然のこと。
でも、過剰に意識すると、心理的な不安や緊張につながり、
本来のあなたの状態を維持できなくなりませんか。
ならば、いっその事、
・万全の準備はするが、準備したもの(何)をすべて忘れて
・いまここに集中!参加者(誰)と自分の間を見る
ほうが良いかと感じ、咄嗟に伝えたのだと思います。
納得できる準備をする前提は大切なのですが、
もし仮に、準備不足だとしても、ジタバタしてもいまさら状態は変わらない、
と腹をくくり、目の前の状況に120%向き合い、
あなた自身を安心・安定させることが大切。
そして、相手とあなたの間を見るとは、
相手存在や反応を過剰に意識しないよう、
直接的には相手を見ずに、相手との間にあるものに焦点をあて、
その場の空気を感じ取ること。
例えば、ボーリングのレーン手前にある
「スパット」というクサビ型の目印はご存知ですか。
そのスパットだけをみて投げると、あまり緊張せず、
案外まっすぐボールが投げられるような感覚になりますよね。
(スパット : 遠方のピンを見ることの誤差を緩和する手元の目印)
セミナーなどでいえば、
相手を直接凝視せずに、相手との間にある机や資料に焦点をあてる、
相手への意識が薄らぎ、不安や緊張緩和にもなり、
でも、相手の方向は見ているので、聞き手に向き合っている形になる。
結果、相手との心理的な距離感も適度に保つことができると思います。
セミナー講師でも、あなたのようなリーダーでも、
場やチームへの影響が大きいことを認識の上、
まず、あなたが安心して物事を進める状態づくりが先決。
・相手との距離。参加者やメンバーとの距離は適切か。
・思考との距離。メッセージにこだわりすぎていないか。
・自分との距離。心、意識に余裕があり、安心安全か、など。
リーダーがチームに接する時も
相手、思考、自分に適度な距離を保ちながら、
あなた自身が安心安全、安定した状態になり、
チームやチームメンバーと関わることが大切だと思います。
リーダーや講師は、いつも一番、影響がある立場なのですから。